ペットは家族の一員であるため、お別れする際には、親族や友人といった大切な人を亡くした時と同様の喪失感に苛まれるケースが少なくありません。以下では、そのような時に起こるペットロスとはどういったものであるのかを見た上で、その症状や克服方法についても説明していくので、ペットを飼っている方はぜひ頭に入れておくとよいでしょう。
ペットロスとは?
まずはじめに、ペットロスというのは、飼育していたペットを失うという体験そのものであり、それによって生じる身体的な不調や精神的なダメージを指します。医学の世界では、ペットロスによって引き起こされる心身への影響のことをペットロス症候群と呼ぶこともあります。核家族化や少子高齢化によって、かつてに比べてペットがより身近な存在になったことから、亡くなった時に家族や友人を失ったのと同じか、それ以上の悲しみを感じる人は少なくありません。場合によっては、悲しみが深いあまり、心身に不調をきたしてしまうケースもあり得るのです。
ペットロスの症状とは?
ペットロスによって引き起こされる症状には、大きく分けて心身的なものと身体的なものの2種類があります。典型的な心身的な症状は、集中力の低下や現実逃避、怒り、抑鬱といったものですが、それ以外にも極度の不安や罪悪感を感じるようなケースもあり得ます。症状が重くなると、幻覚を見たり、パニックに陥ったりすることもあるので、くれぐれもそのうち良くなるなどと思って放置しないようにしましょう。一方、身体的な症状に該当するのは、倦怠感や不眠症、過食や拒食、吐き気、目眩、蕁麻疹などです。ペットロスが引き金となって持病が悪化する場合もあるため、普段から体調に不安がある方は特に気をつけなければなりません。
ペットロスを克服するための方法とは?
ペットロスの症状が重症化してしまうと専門家のサポートを得るしか手がなくなってしまいますが、そうなる前であれば、いくつかのプロセスを経ることによって克服できる可能性があります。この点、まず最初にとり得る方法は、自然に時間が経過するのを待つというものです。大切な存在を失って悲しみに暮れるというのは、当然のことであり、無理をして何事もなかったかのように振る舞ったり、別のことをしようとしたりすると、かえって心身に大きなストレスをかけかねません。そうならないようにするためにも、場合によっては、気が済むまで泣いたり、何もせずに一日を過ごしたりして、気持ちが落ち着くのを待つようにするとよいでしょう。
また、信頼できる人を見つけて相談するという方法も有効です。ペットを飼ったことがある人であればペットロスの経験は何らかしているはずですので、悩みや不安を相談してみるとよいでしょう。はじめは抵抗があるかもしれませんが、話をしているうちに苦痛や不安が薄れていく場合は少なくないため、気負わずに思いの丈を打ち明けてみるのがおすすめです。周りに相談できる人がいないのであれば、SNSやインターネット上のコミュニティなどで同じ境遇にいる人を探してみるというのも一案です。
さらに、ペットロスを克服するためにペット葬を行うという方法もあります。ペットのお葬式を執り行うことによって、現実を受け入れて気持ちに区切りをつけやすくなるので、なかなか感情の整理ができないという場合にはぜひ検討してみるとよいでしょう。なお、一言でペット葬と言っても様々なタイプがあり、内容や費用もそれぞれ異なります。そのため、まずはペット葬を専門に行っている業者に相談するなどして、自分のニーズに合う弔い方を見極めるようにしてください。葬儀後は、いつでも墓参できるように、近くのお墓に納骨するとよいでしょう。
ペットロスについてしっかり理解しておこう
以上で見てきたように、ペットロスによって引き起こされる症状には心身的なものと身体的なものがあります。いずれも重症化してしまうと大変ですので、そうなる前に適切な対処策を講じるようにしてください。万が一、克服するのが困難ということであれば、ペットロス専門のカウンセリングを受けてみるというのもよいかもしれません。