出会えたこと、一緒に同じ時を過ごせたことに感謝したい。ペットたちは人間と違って寿命が短い子も居て、お見送りをしなければならないケースも多くあります。大切な存在であるペットの終末期は最大限の工夫をして、安らかに過ごして欲しいものです。そこでペットが安心して終末期を過ごせるように工夫したい必要なケアや生活環境の整え方、食事などについて解説します。
ターミナルケアの段階に入る
我が家のペットが治すことが難しい病気になってしまった、これ以上治療を続けても意味がないと判断されたときなどにはターミナルケアの段階に入ります。ターミナルケアは身体の痛みを和らげる、精神的な不安を取り除いてその子らしく最期まで過ごせるようにサポートするものです。過酷な状況に置かれていても積極的に痛みや不安を取り除いてあげることで、穏やかに終末期を過ごせます。
特別な理由がない限り、基本的には自宅でターミナルケアを行います。住み慣れた我が家で過ごした方がペットも安心し、自分らしくマイペースに毎日を送れるようになるのです。自宅なら常に飼い主さんが近くに居るので、安心感もあります。心細くなることも少なくなるので、ペットにとってはベストな過ごし方と言えるのです。痛みがどうしても収まらない、発作が起こる可能性があって管理をしなければならないときには動物病院で過ごすケースも珍しくありません。ペットの体調を踏まえて、お医者さんと相談しながら過ごし方を考えましょう。
自宅で行う必要なケアと環境の整え方
自宅で行う必要なケアの一つに、身体の清潔を保ってあげることがあります。終末期のペットは免疫力が下がる傾向にあり、感染症や炎症を起こしやすいと考えられています。感染症や炎症からペットを守るためにも、常に身体は清潔にしてあげましょう。目や耳、お尻など部分的に汚れている部位があれば、ぬるま湯で濡らしたガーゼで優しく拭き取ります。強く拭きすぎると痛みを伴うこともあるので、優しく触れるようにケアしてあげましょう。全身をケアしたいときには蒸しタオルで拭く、体力があるなら軽くシャンプーをします。ペットの体調や状況に合わせて、出来るケアをしてあげることが大事です。
排泄のサポートも必要なケアで、終末期になると思うように排泄することが難しくなり、ペットたちにとっては大きなストレスです。不快な思いをさせないようにするためにも、排泄のサポートは飼い主の大切な役目です。自力でトイレに行けるようならスムーズに行けるルートを確保します。いつも過ごしている場所から近く、辿り着くまでの道のりにある障害物は取り除きましょう。足腰が弱っているようなら滑り止めのマットを置いて、転ばないように工夫します。自力でトイレに行けない場合はトイレに定期的に連れていくか、紙おむつをつけておくと安心です。便が溜まっているときは直腸や肛門付近を軽く圧迫して、排便の手助けをします。圧迫する必要があるのか、どんな手順で行えば良いのか分からないときには主治医の指示を仰ぎましょう。
心地よい生活環境を整えることも、重要です。終末期に差し掛かると体温調節が難しくなり、暑すぎる、または寒すぎる部屋はペットの大きな負担となります。適温で過ごせるように暑いときには冷房を、寒いときには暖房をかけて快適な温度を保ちましょう。同時に湿度の管理をすれば、より快適に過ごせます。多くのペットにとって快適な湿度は40%から60%と言われ、この範囲の湿度に保てばペットにとって心地よい部屋になるのです。
食事のサポートで最期まで楽しく
ペットにとって楽しみの一つである食事。終末期になると食欲が低下する子も居ますが、やはり食事は生活の中でも楽しみな時間の一つです。飼い主側が工夫をして、最期まで楽しく食事が出来るように手助けしましょう。基本的にはいつもと同じ食事内容で構いません。食べ慣れたペットフードがあれば、それをチョイスします。食欲を刺激するためには温めるのも、一つの方法です。温めると良い香りが漂い、食欲を刺激します。固形物を食べられないときにはお湯でふやかして、食べやすくすることもポイントです。
いつものペットフードに興味を示さない、食べてくれないときにはどんなものでも構わないので食べられるものをあげます。食事制限がないのなら食べたがるもの、興味を示したものをあげてしまいます。もちろん食べさせてはいけないもの、中毒を起こす可能性があるものには注意です。
最大の愛情を伝える期間
終末期と聞くとどうしても暗い気持ちになりますが、ケアを通してペットに最大の愛情を注ぐ期間でもあります。今までの感謝や想い、愛情をお世話を通して伝えてみてください。ケアをしながら気持ちを伝えることでペットも心穏やかに過ごせて、安心して次のステップに進めるのです。お互いに良い思い出を残せるように、愛情深くお世話をしてあげましょう。