ペットロスとは
「ペットロス」とは、ペットを亡くした飼い主が感じる深い悲しみのことです。
ペット自身の死はもちろん、犬と生活することで得られていたもの、例えば散歩などの楽しみや、犬を通じて知り合った仲間との会話などが失われてしまうことで起こります。
近年、ペットは飼い主から人間の家族同然に愛され、「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」と呼ばれるまでになり、獣医療やペットサービスが発達したことで、平均寿命も延びつつあります。一緒に過ごした時間が長ければ長いほど、失った時の悲しみは計り知れないものになります。
よく聞かれるペットロスの症状は、「突然悲しくなり、涙が止まらなくなった」というもの。そして「疲労感・無気力」と続きます。「幻覚や幻聴」「眠れない」「外出できない」など、重い症状に苦しめられている人もいます。
ペットを愛し、生活を共にしてきた飼い主にとってペットの死は、家族や友人の死と同様に辛いものなのです。
ペットロスが続く期間と重症化の要因
ある保険会社の調査では、およそ30%の人がペットロスの症状が続いた期間を1か月未満と回答しました。次いで、およそ20%が1か月~3か月未満、10%が3か月~6か月未満となっています。
一方で、およそ18%の人が1年以上もペットロスから脱却できなかったと回答しています。ペットロスが長引いてしまう要因は、ペットと過ごした時間の長さや愛情の深さだけではありません。
例えば、周囲の人とペットに対する価値観が合わず、気持ちを共有してもらえなかった場合です。「辛い」「悲しい」といった感情を吐き出すことができずに我慢してしまい、苦しみから逃れられなくなる人も少なくありません。
また、ペットが病気や不慮の事故で亡くなった場合、自責の念がペットロスからの回復を遅らせることがあります。
「もっと早くに病院につれていけば」「自分がもっと気をつけてあげれば」などの後悔が頭から離れず、苦しみ続けてしまうのです。
あまりに症状が重くなると、心身に異常をきたしてしまうことも考えられます。
ペットロスから早期に回復するには
ペットロスが癒えたきっかけで多いのが、「傷が癒えるまでじっと待った」というものです。
深い愛情を注いで家族同然に思い出を共有してきた存在であるので、心に空いた穴を埋めるには長い時間が必要なのです。
逆に言えば、時間の経過を待てば、自然と悲しみは癒えるということです。今は辛くても、いつかペットの死を受け入れられることができます。ペットがかけがえのない存在だったからこそ、辛く悲しい時間が長くなるのは当然のことです。無理に立ち直ろうとせず、時の流れに身をまかせるのも大切です。
他には、ペットのお墓参りや遺品の整理をして気持ちを切り替えるのも一つの手です。周りに同じ悲しみを経験したことのある人がいたら、話を聞いてもらうのも有効な手段です。アドバイスをくれるだけでなく、悲しみを共有することで孤独感が和らぎます。
40%以上が「またペットを飼いたい」
前述の調査で、「辛い思いをしたくない」という理由で新しいペットを迎えていない人は40%を超えました。多くのペットは人間よりも寿命が短いので、必ず再び別れの瞬間がやってきます。一度ペットロスを経験してしまうと、二度とそんな辛い別れを経験したくないと考える人がいるのも、当然のことです。
一方で、60%近くの人が「またペットを飼いたい」と回答しています。辛い経験をしたにも関わらずまたペットと暮らしたいと考えるということは、それだけ亡くなったペットと過ごした時間がかけがえのない時間だったということです。新しいペットを迎え入れても、亡くなったペットとの思い出が消えるわけではありません。しかし、新しいペットを迎え入れたことでペットロスから早くに回復できたと感じている飼い主もいます。また、傷が完全に癒えてから飼い始めたという人もいます。どちらにせよ、長年ペットを大切にしてきた人にとっては、自然と「また一緒に暮らしたい」と感じる人も多くいるということです。