コラム
ペットの供養

いつまでも、ペットも家族と共に
海洋散骨という選択

2019.02.14

ペットも家族と同じ場所で弔う

皆さんは大切なペットを亡くしたとき、最後に手元に残るその遺骨を、どうされているだろうか。
ペット専用霊園、ペット専用の納骨堂、お骨壷に入れて自宅で供養する等、その方法は多様にあるかもしれない。しかし、今やコンパニオンアニマルと呼ばれ、家族の一員となったペットが “ 家族と同じ場所で一緒に眠る ” ことができる葬法は、まだそれほど多くはないのが現状だろう。

今回、その数少ないペットと故人を一緒に弔う葬法のひとつとして、海洋散骨のブルーオーシャンセレモニーを運営する株式会社ハウスボートクラブの代表取締役で、全国の散骨業者で組織する一般社団法人日本海洋散骨協会の代表理事を務められる村田ますみさんに、ペットの海洋散骨について詳しくお話を聞いた。
場所は、都内にあるBULE OCEAN CAFF(ブルーオーシャンカフェ)。株式会社ハウスボートクラブが運営する、海のように爽やかなブルーの外観が可愛らしい終活コミュニティカフェだ。冷え込む真冬の平日の午前中にも変わらず、店内は若い人からお年寄りまでたくさんの客で賑わい、楽しそうに語らっていた。

 

 

ペットも家族の一員だから

はじめに、ペットも一緒に散骨しようとしたきっかけを教えてほしいと質問したところ、「ご遺族からのご要望です」と村田さんはきっぱりとした優しい笑顔で即答した。聞けばブルーオーシャンセレモニーのサービスは、その殆どがご遺族からの要望で出来ているのだという。

「 “顔と顔から心と心へ” というのがうちの企業理念でもありますので、人と人とのコミュニケーションを何より大切にしています」と言い切る村田さんの言葉に迷いはなかった。
故人の遺骨を自宅まで引き取りに行く際、家に歴代のペットの遺骨を置いている家庭も少なくないのだという。そこで「わんちゃんも一緒にいいかしら」と、村田さんは遺族に相談を持ちかけられたのだそうだ。
それが、ペットと人を一緒に弔う海洋散骨のはじまりとなる。

「私としてはお話をいただいたとき、特に違和感はありませんでした。ペットも家族の一員ですから。三途の川を一緒にわんちゃんが先導して連れて行ってくれたら素敵なことでしょう」と、そのご遺族の想いに対して戸惑うことなく、素直に受け入れられたと話した。

 

 

船を貸し切るだけではなく、合同の散骨プランも

しかし、一般的には人とペットを一緒に送り出すという考え方に、抵抗を覚える人もいる。
散骨をする際の乗船プランとして、ブルーオーシャンセレモニーでは大きく分けて三つのプランを用意している。船を一隻貸し切る「チャーター散骨」、そして一度に数組の遺族が乗船し、乗り合いで行う「合同散骨」、依頼者が散骨に立ち会わず、遺骨を預けて散骨を依頼する「代行(委託)散骨」だ。
その中で、合同散骨の場合は様々な考え方を持った人たちが乗り合わせるため “ ペットも一緒 ” の散骨は、基本的にはお断りしていたのだという。

「ただ、ご要望が増えてきまして」と村田さんは考え深げに言った。
ペットも一緒に散骨したいけれど、乗船する人数も少なく船をチャーターするほどでもない、というご遺族が増え、その想いを無視できなかったのだ。

そして、どうしようかと考えた挙句、「じゃあペットもOKの合同散骨の日を設けよう」と思い立ったのだという。

 

 

海洋散骨だから受け入れられること

遺族からそういった要望が増えてきた時代背景として、ペットに対して “ 家族の一員 ” という想いが以前より強くなったということが言えるのかもしれない。家族であれば、最後のときを同じ場所で眠りたいと考えるようになるのは自然なことだ。けれども、従来のお墓であれば、一緒に入ることは容易ではない。

「仏教でも宗派によっては人間と動物は住む場所が違うと言われています。法的にも、ペットの遺骨は廃棄物という扱いになります。人間の遺骨とは扱いが異なりますので、そこがペットを飼われている皆さんの気持ちとは相反するところになるかと思います」と村田さんは少し寂しそうな表情を浮かべた。
しかし、だからこそブルーオーシャンセレモニーでは、その想いに応えられる数少ない受け皿になろうとしているのだろう。

これまでのセレモニーでも、遺族の意向を汲んで船内での楽器の演奏や思い出の映像の上映など、様々な試みを行ってきた。
「セレモニーにおいて、こうしなければならない、といった仕切りはありません。ご遺族が主体的に考え、その想いを実現するためのお手伝いをするのが私たちの役割だと考えています」と村田さんは力強く答える。

「ご自宅で供養されていた大切なペットの遺骨を、最終的にやっと託せる場所ができたと思っていただけたら嬉しく思います。以前もおばあちゃん一人と先祖代々のわんちゃん8匹を一緒に撒いたことがありました。つい先日も、猫ちゃん5匹をお預かりしたばかりですよ」

そう言って微笑む村田さんの笑顔は、澄み渡る海のように清々しく、包み込むような優しさに満ちていた。

 

 

グリーフワークでペットロスと向き合う

遺族の想いを軽んじることなく、ペットと人との繋がりに敬意を払い、何が自分たちに出来るのかを真剣に考えてサービスに活かす。 “ 顔と顔から心と心へ ” という企業理念のとおり、人に寄り添い、コミュニケーションを何より大切にする村田さんは、海洋散骨に留まらず、ペットと人を繋ぐ更なる活動を続ける。

BULE OCEAN CAFF(ブルーオーシャンカフェ)では、飲食を楽しむだけでなく、毎月様々なイベントを開催している。2月20日(水)にはグリーフワーク(大切な方を亡くした悲しみに向き合い、折り合いをつけていく作業)を支援するための、『グリーフわかちあいの会』が開催される予定だ。こちらのイベントは、人だけでなく、ペットを亡くした方も参加することが出来るという。

ひと昔前のように、犬は番犬として、猫は鼠捕りの為に飼うといった時代は過ぎ去り、人にとってペットの存在は大きく変化し、そしてペットの死に対する悲しみも、より深まっていると言えるだろう。
大切な存在を失い、その悲しみと向き合わなければならない、という意味では人もペットも同様だ。
そして、その悲しみとどう向き合うかは、残された者にかかっている。

ペットと人を分け隔てることなく、その死に向き合い、傷付いた人たちにそっと寄り添う村田さんの姿は、実生活で人との関わりが気薄になりがちな現代社会において、コミュニケーションを通じてより前向きに生きて欲しい、そんな真摯な想いを感じさせられた。

■BLUE OCEAN CAFE(ブルーオーシャンカフェ)

https://blueoceancafe.tokyo/

■BLUE OCEAN CEREMONY(ブルーオーシャンセレモニー)

https://blueoceanceremony.jp/

 

 

村田 ますみ(むらた ますみ)

1973年 東京都生まれ。
同志社大学卒業後、IT業界、生花流通業を経て2007年に株式会社ハウスボートクラブを設立。東京を中心にパーティークルーズと海洋散骨事業を展開。2014年全国の散骨業者で組織する一般社団法人日本海洋散骨協会代表理事に就任、2015年には日本初の終活コニュニティカフェ「BLUE OCEAN CAFE」をオープンし、終活のトータルサポートを本格的に開始した。著書「お墓に入りたくない!という選択」(2013年 朝日新聞出版)「海へ還る 海洋散骨の手引き」(2018年 啓文社出版)

 

 

写真:柏原 真己