コラム
イベントレポート

笑顔のきっかけをつくりたい
アイディアいっぱいの第2回保護犬里親会

2019.07.22

 

ペットと人のより良い暮らしに貢献するために

小雨がしとしとと降り注ぎ、梅雨らしい天気に見舞われた7月7日(日)七夕の日。
東京都港区麻布十番駅から徒歩5分ほどの距離にある株式会社日比谷花壇の本社ビルの前には、そんなあいにくの空模様にも関わらず、傘を差して並ぶ人々の行列ができていた。
人々の目的は、日比谷花壇の本社ビルにあるCOTO café(コトカフェ)で開催される『第2回 日比谷花壇のペット葬 × NPO法人ALMA 保護犬里親会』である。

 

 

日比谷花壇のペット葬と愛護保護団体NPO法人ALMAによる保護犬里親会開催は、今回が2回目となる。発端は、日比谷花壇のペット葬を運営するライフサポート事業部スタッフの “ 葬儀だけに留まらず、ペットと人のより良い暮らしに貢献したい ” という想いからだった。ペットと共に暮らすことは、最後までその命に責任をもつことに他ならない。その想いは、NPO法人ALMAと業界の枠を越えて共感するものだった。

 

 

日比谷花壇らしく緑をとりいれた会場づくり

開催時間になると、待ち侘びた人々が次々とビルのなかへ入っていく。
会場であるCOTO cafeでは、新しい家族を待つ保護犬14頭がスタッフと共に出迎えた。

今回の保護犬里親会では『七夕 − 織姫と彦星のように− 』をコンセプトに、天の川を渡って出会う織姫と彦星のように、保護犬と新たな飼い主が出会えるよう願いを込めた会場づくりが行われた。COTO cafeの入り口には大きな笹が置かれ、願い事ができるよう、来場者全員に短冊が渡された。
会場の中には一面に美しい人工芝が敷かれていた。犬たちが歩き回っても足が痛くならないように、柔らかな素材でできている。
「公園にきたような和やかな気分で、保護犬と人が出会い、触れ合ってほしい」という日比谷花壇スタッフの心遣いから、この日のために敷かれた物だった。
来場者からは「明るくて清潔」「内装に植物が多く使われていて、さすがお花屋さん」「今までいろんな里親会に参加したが、ここは綺麗で会場の雰囲気が良い」という喜びの声が飛び交った。

 

 

犬たちは柔らかな人工芝の上を元気に歩き回り、普段、犬たちの世話をしているALMAスタッフを介して、来場者とも気さくに触れ合っている。
会場には多くの来場者が途切れることなく訪れ、保護犬に対する世間の関心の高さがうかがえた。

 

 

じっくりと向き合うことで、絆が生まれる

そんな人々の関心を徐々に集めはじめた保護犬だが、保護されるに至った経緯が取り上げられることはまだ少ない。そんななかで、昨今ニュースでも度々耳にするようになったのが、飼い主の無計画な飼い方によって頭数が増え過ぎ、飼育不可能な状態となる、多頭飼育崩壊だ。
今回の保護犬里親会でも、多頭飼育崩壊によって保護された犬4頭(その内3頭は同じ飼い主から所有権を放棄された犬)が参加した。

多頭飼育崩壊で手放された犬たちの多くは、家のなかでしか過ごしたことがなく、外の環境に慣れていない場合が多いとALMAのスタッフは言う。
「保護した当初は、お散歩できない、リードがつけられない、という子が多いですね。ずっと引きこもって生活していたため、外の世界を知らず怖がりです。ですから、ゆっくりと時間をかけて接してあげることが大切になります」
保護された犬たちは、それでもALMAのスタッフの愛情を受け、里親会の開場でも人工芝の上を一生懸命に歩き回っていた。その様子に「今日は意外と歩いていますね(笑)」とALMAのスタッフからも笑顔がこぼれた。
来場者からは「新しい家族が決まるまで、どの子も大切にされているのが伝わってきた」と、里親会をつうじてALMAスタッフの献身を知り、心打たれている人も多くいた。

 

 

気持ちが通うようなかたちにしたくて
七夕飾りとチャリティークッキー

会場に設置された七夕の笹には「全員が良いご縁に恵まれますように」「優しい家族のもとで幸せに暮らせますように」「一匹でも多くのワンちゃんの命が繋がりますように」と言った保護犬の幸せを願う短冊が何十枚も掛けられている。

 

 

「織姫と彦星のように、里親さんとワンちゃんが繋がる日になればいいなと思います」と、会場に訪れた多くの来場者と保護犬たちの触れ合いを間近で見ていた日比谷花壇のライフサポート事業部の金澤さんは言った。

日比谷花壇は今回の里親会のために、特製の犬型チャリティークッキーを用意した。それらすべてが完売し、売上げはNPO法人ALMAに寄付された。
「単純に寄付というより、気持ちが通うような形で貢献させていただくことが大切で、みなさんの笑顔が生まれるきっかけになればと思い、クッキーというかたちで用意しました。会場づくりもそうですが、里親会の彩りを加えるところで、少しでもお手伝いできればと考えています」と金澤さんは優しい笑顔をたたえて言った。

 

 

悲しみを乗り越えて、新たに生まれる喜びへ

来場者に「なぜ今回参加しようと思ったのか」と話をうかがったところ “ 以前飼っていた犬を亡くしたから ” という声がもっとも多くきかれた。
なかには、犬が亡くなった際に日比谷花壇のペット葬を利用し「そのご縁で次のうちの子がここにいるかもしれない」と感じて参加した人もいた。

「この里親会で、心のポカンと空いた穴を埋めていきたいということを仰られていた方もいらっしゃいましたので。このイベントというのは、そういう新しい繋がりをつくるという意味でも不可欠なのかなと思います。まだまだ里親会を知らない方もいらっしゃるので、ここで生まれる喜びを、より多くの人に知ってもらえたらと思います」と金澤さんは穏やかな表情で言った。

今回の里親会を終えて、会場を後にする来場者からは「人も犬もとても温かかった」「皆さん親切で和やかでした」「スタッフの方の対応が丁寧で、お話してわかったことがたくさんあった」「また是非参加したい!」「定期的にもっと会を開催してほしい」という声がきかれた。

わずか3時間という短い開催時間ではあったが、訪れた来場者数67組125人・里親申込者数15組。大盛況のうちに、第2回保護犬里親会は幕を閉じた。

いろいろな境遇の保護犬がいるのと同じように、悲しみを抱えながら生活している人もいる。それでも、新しい出会いによって、人と犬が互いに支え合いながら幸せを導き出すことは可能だ。
たくさんの人の笑顔で溢れかえったこの里親会なら、その架け橋に、きっとなれるだろう。

 

 

■特定非営利活動法人ALMA(アルマ)
http://alma.or.jp/

 

写真:kashihara maki